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『TOHOシネマズ学生映画祭』リポート③ナカモトユウ監督トークショー

第18回「TOHOシネマズ学生映画祭」のステージ企画として、トークショー「映画祭から歩んだ道」が行われた。また、ゲストとして第12回映画祭のグランプリの受賞者であり現在は商業映画の監督である、ナカモトユウさんが登壇した。

 

【ナカモトユウ】

監督プロフィール

1991年生まれ、広島市出身。

幼少期よりジャンル映画、とりわけジャッキー・チェンに影響され、中学の頃から映画を撮り始める。地元のデザイン会社に就職するが映画監督を志し、24歳で脱サラし上京。映像系の専門学校に入学。在学中にカナザワ映画祭グランプリ、ぴあフィルムフェスティバル観客賞を受賞し、商業映画デビュー。ホラー、アクション、コメディを中心に得意のジャンルを広げ、2024年よりBABEL LABELに所属。

主な作品に『死霊軍団 怒りのDIY(21)』や、予告編がSNSで評判になった『福山市長に1日密着してみた(22)』などがある。2023年に公開された『先生!口裂け女です!』では、ホラー映画・アクション映画ファンを唸らせ話題となった。


【トークショー】

始めに、ナカモトユウ監督の当時の受賞作「怪しい隣人」が上映。その後MCの2人が進行役となり、トークショーが開始した。

まずは、ナカモト監督のこれまでの経歴を振り返りながら深堀りしていく。ジャッキー・チェンや仮面ライダーの影響で中学生からアクションやホラー映画を撮っていた。映画、といっても当時は親のガラケーの付属カメラを使い、アクションも階段の飛び降りなどだったそう。

その後地元の会社に就職したが、その期間に作った自主制作映画がコンクールでノミネートされたことで、改めて映画製作の熱に目覚め上京することに。そこで、「TOHOシネマズ学生映画祭」にも出会った。受賞作の「怪しい隣人」はアパートの隣同士が同じ学校に通っている、という状況から着想を得たのだという。

脚本についてはキャラクターが面白くなるようにすることや、見る人が脚本を知らなくても何が起こったのか理解できるようにすることを心掛けていたと語った。

次に、監督時代について話を聞いた。

最初の作品が失敗してしまった経験から、どんなに制作側に事情があっても作品を見ている人にそれが伝わることはなく全てが作品の内容で評価されることから、商業映画について改めて考えさせられた。そもそも、商業映画と自主制作映画は作り方が違うのだそう。様々な役職に分かれている商業映画は脚本を自由に書けるが、自主映画は少人数(全て自分という場合も)で行われるので、脚本を書く際は第一に「実現可能か」を考えるのだ。また、商業映画は予算とスケジュールがしっかり決まっているが、自主制作映画はある程度融通が利くという違いもある。商業映画はより多くの人と関わるため、コミュニケーション力も必要であり、覚悟をもって現場に行っていたようだ。

監督になってよかったところを聞いてみると、作品が出来上がったときの感動や、見てくれた人が作品を褒めてくれたときだと語った。「面白かった」と言ってもらえることはやりがいにも繋がるという。

続いて質問コーナー。事前にオンラインで募集した質問と会場内での質疑応答を行った。

Q)キャスティングのポイントは?

A.自主映画はノリが合う仲が良い人、商業映画は芝居が上手な人をキャスティングしている。

 

Q)企画からクランクインで大切にしていることは何ですか?

A.脚本。面白い脚本に人はついてくるから。それから、プロデュース業務として様々な人に連絡をして協力を仰ぐことも大切。

 

最後に、ナカモト監督が映画作りをする際には、作品を見たときに面白いと思ってもらえるようにすること、それから制作に関わる人たちを大切することを心掛けていると語った。

そして、学生たちへは、映画作りは行動する(家から出る)ことが大切であるとともに、面白い作品をたくさん見て分析してみてほしい、と思いを伝えてトークショーを締めた。

 

【MC】

光井江玲奈(早稲田大学)、漆間虹美(東京藝術大学)がMCを担当。

 

【information】

『BABEL LABEL』公式サイト:https://babel-pro.com/

『TOHOシネマズ学生映画祭』公式サイト:https://www.tohotheater.jp/tcsff/

 

リポート①;受賞結果発表:https://www.scketto.com/news/20250403

リポート②;MC紹介:https://www.scketto.com/news/202504032

 

【感想】

「TOHOシネマズ学生映画祭」は本選考だけでなく、トークショーもとても興味深かったです。私自身映像制作のサークルとゼミに所属しているため、学びになるお話がたくさんありました。また、自主制作映画によくある苦労も共感でいっぱいでした(笑)。学んだことは、ぜひこれからに活かしていこうと思います。今回は「TOHOシネマズ学生映画祭」に参加できて本当に良かったです。鈴木遥(法政大学)

 

◆取材・文:鈴木遥(法政大学)

◆写真:仲西一成(Scketto)、公式提供

 
 
 

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